1級建築士スワイプ法規の解説試験に出る作品

建築基準法|避難

2以上の直通階段
設置基準と重複距離

避難階以外の階が、劇場などの客席がある階、床面積の合計1,500㎡超の物品販売店舗の売場がある階、6階以上で居室がある階(例外あり)、居室の床面積の合計が決まった面積を超える階などに当たるときは、その階から避難階か地上に通じる直通階段を2つ以上設けます(建築基準法施行令121条)。共同住宅ならその階の居室の合計が100㎡超(主要構造部が準耐火構造・不燃材料なら200㎡超)で2つ。2つの階段への道すじが重なる重複区間は、歩行距離の1/2以下にします(121条3項)。

居室居室居室共同住宅:その階の居室の合計100㎡超で2つ(準耐火・不燃なら 200㎡超)重複区間(赤い太線)歩行距離の1/2以下歩行距離50mなら 25m以下住戸の奥からここで分かれる直通階段 A直通階段 B淡い赤の床=居室
共同住宅のある階を斜め上から見た模式図(実際の設計例ではありません)。淡い赤が居室で、この床面積の合計で2以上が要るかを決める。赤い太線が重複区間で、右奥の住戸から階段A・Bへの道すじは、階段Bの前で分かれるまで同じ所を通る

2以上が要る階の早見表

避難階以外の階が、次のどれかに当たると2以上が要ります。面積は、建物全体ではなくその階の、表に書いた部分の床面積の合計です。

その階2以上が要る条件準耐火構造・不燃材料なら
① 劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場客席・集会室などがあれば面積にかかわらず同じ
② 物品販売業を営む店舗床面積の合計1,500㎡超の店舗売場があれば面積にかかわらず同じ
③ キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バーなど客席・客室があれば除外は2つだけ:5階以下・居室100㎡以下でバルコニーなどと屋外避難階段・特別避難階段の両方がある階/避難階の直上階か直下階で5階以下・居室100㎡以下の階(下)除く条件が200㎡以下に
④ 病院・診療所病室/児童福祉施設等主たる用途の居室50㎡超100㎡超
⑤ ホテル・旅館・下宿宿泊室/共同住宅居室/寄宿舎寝室100㎡超200㎡超
⑥ 上のどれにも当たらない6階以上の階居室があれば面積にかかわらず居室100㎡以下で、避難上有効なバルコニーなどと屋外避難階段・特別避難階段がある階は除く(①〜④の用途の階は除けない)除く条件が200㎡以下に
⑥ 上のどれにも当たらない5階以下の階居室100㎡超避難階の直上階は200㎡超200㎡超直上階は400㎡超
重複区間2以上が要る階歩行距離の数値の1/2以下同じ歩行距離の数値は構造で変わる

右の列は、主要構造部が準耐火構造か不燃材料の建物。根拠:建築基準法施行令121条1項1〜6号、2項(主要構造部が準耐火構造か不燃材料なら50㎡→100㎡、100㎡→200㎡、200㎡→400㎡と読み替える)、3項。「準耐火構造」には、特定主要構造部を耐火構造にした建物(耐火構造の建物)を含む(120条2項)。

「超」で判定どの面積も「超える」ときに2以上が要ります。準耐火構造・耐火構造の共同住宅の5階以下の階で、居室の合計がちょうど200㎡なら、直通階段は1つでかまいません。

120条の直通階段との関係

120条は、避難階以外の階(地下街を除く)に、避難階か地上に通じる直通階段を、居室から(居室の中の最も遠い位置から測る)その1つまでの歩行距離が決まった数値以下になるように設ける決まりです。121条は、そのうち上の表に当たる階に、同じ直通階段を2つ以上求めます。1つの階段が火や煙で使えなくなっても、もう1つで逃げられるようにするためです。

  • 直通階段:120条で「避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む)」と書かれているもので、言葉そのものの定義は条文にありません。一般には、ほかの階を通らずに避難階か地上まで続いている階段をいいます。
  • 避難階:直接地上へ通じる出入口のある階(令13条1号)。121条は避難階以外の階の決まりなので、避難階そのものには2以上の決まりはかかりません。
  • 歩行距離:2つ以上設けても、120条の歩行距離(耐火構造の共同住宅なら50mなど)は近い方の階段で満たします。数字は歩行距離のページに。
  • かかる建物:120条・121条は、法別表第一(い)欄(1)〜(4)項の特殊建築物、階数3以上の建物、採光上の無窓居室がある階、延べ面積1,000㎡超の建物にかかります(117条1項)。
  • 「二方向避難」:建築基準法と施行令の条文に、この言葉はありません。建築基準法でこれに当たるのは、2以上の直通階段(121条1項)と重複区間(121条3項)の決まりです。

根拠:建築基準法施行令120条1項、121条1項、13条1号、117条1項

用途で決まる階(劇場・物販・病院・共同住宅など)

  • ① 劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場:その階に客席・集会室などがあれば、面積にかかわらず2以上。
  • ② 物品販売業を営む店舗:店舗の床面積の合計が1,500㎡を超えるものの、売場がある階。1,500㎡以下の店舗の階は②に当たらず、⑥の面積(5階以下なら居室100㎡超など)で判定します。
  • ③ キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バー(ほかに個室付浴場業などの施設、ヌードスタジオなどの興行場、専ら異性を同伴する客の休憩施設、店舗型電話異性紹介営業などの店舗):客席・客室がある階。除く条件は下。
  • ④ 病院・診療所:その階の病室の床面積の合計が50㎡超。児童福祉施設等(老人福祉施設・有料老人ホーム・障害者支援施設なども含む):その階の主たる用途の居室の合計が50㎡超。準耐火構造・不燃材料なら100㎡超。
  • ⑤ ホテル・旅館・下宿は宿泊室、共同住宅は居室、寄宿舎は寝室の、その階の床面積の合計が100㎡超。準耐火構造・不燃材料なら200㎡超。

足す部屋に注意④⑤は、階の床面積ではなく、病室・宿泊室・居室・寝室だけを足します。廊下・階段・便所などは入りません。共同住宅は住戸の中の居室(居間・寝室など)の合計で、住戸の床面積の合計ではありません。

根拠:建築基準法施行令121条1項1〜5号、2項。児童福祉施設等の範囲は令19条1項。居室は「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」(建築基準法2条4号)。

そのほかの階:6階以上と5階以下

事務所の事務室のように①〜⑤の用途に当たらない階(④⑤の用途でも面積が基準以下の階を含む)は、階の位置と居室の床面積で決まります(121条1項6号)。

1F2F3F4F5F6F7F6階以上の階居室があれば2つ例外:居室100㎡以下で、バルコニーと屋外避難階段などがある階は1つ5階以下の階居室100㎡超で2つ避難階の直上階居室200㎡超で2つ避難階:対象外事務所など(①〜⑤に当たらない階)準耐火構造・不燃材料なら面積は2倍淡い赤の床=居室(その階の合計で判定)
事務所などの階の条件を断面に描いた模式図。6階以上は居室があれば2つ、5階以下は居室の合計100㎡超(避難階の直上階は200㎡超)。主要構造部が準耐火構造・不燃材料なら面積は2倍
  • 6階以上の階:居室があれば2以上。ただし、①〜④の用途の階以外で、居室の合計100㎡以下(準耐火構造・不燃材料なら200㎡以下)、かつ避難上有効なバルコニー・屋外通路などと、屋外避難階段か特別避難階段の構造の直通階段がある階は1つでかまいません。
  • 5階以下の階:居室の合計が100㎡超(準耐火構造・不燃材料なら200㎡超)。避難階の直上階(ふつうは2階)だけは200㎡超(同400㎡超)。

根拠:建築基準法施行令121条1項6号イ・ロ、2項

バルコニーと屋外避難階段があるとき

次の場合は、2以上の決まりや重複区間の決まりが外れます。③と⑥の除外は、居室の面積に加えてバルコニーなどと階段の両方が条件で、片方だけでは外れません(③の、避難階のすぐ上・すぐ下の階の除外は面積だけ)。

  • ③キャバレーなどの階:5階以下の階で、居室の合計100㎡以下(準耐火構造・不燃材料なら200㎡以下)、かつ避難上有効なバルコニー・屋外通路などと、屋外避難階段か特別避難階段の構造の直通階段がある階。それと、避難階の直上階か直下階である5階以下の階で、居室の合計100㎡以下(同200㎡以下)の階。
  • ⑥6階以上の階:①〜④の用途の階以外で、居室の合計100㎡以下(同200㎡以下)、かつ避難上有効なバルコニー・屋外通路などと、屋外避難階段か特別避難階段の構造の直通階段がある階。
  • 重複区間:居室の各部分から、重複区間を通らずに避難上有効なバルコニー・屋外通路などへ逃げられるなら、1/2以下の決まりはかかりません(バルコニーだけで外れる)。

屋外避難階段の構造階段は耐火構造で地上まで直通させ、階段に通じる出入口以外の開口部(1㎡以内のはめごろしの防火設備付きの窓を除く)から2m以上離します。屋内から階段に通じる出入口には防火設備を付けます(令123条2項)。

根拠:建築基準法施行令121条1項3号・6号イ、2項、3項ただし書き、123条2項・3項

重複区間(重複距離)は歩行距離の1/2以下

階段を2つ設けても、居室から2つの階段へ向かう道すじが途中まで同じ廊下を通るなら、その部分で火や煙に行く手をふさがれると、どちらの階段にも行けません。そこで、居室の各部分から各直通階段へ向かう通常の道すじのすべてに共通する部分(重複区間)の長さを、120条の歩行距離の数値の2分の1以下にします(上の図の赤い太線)。

居室歩行距離重複区間
共同住宅・ホテル・病院など主要構造部が準耐火構造・不燃材料50m25m以下
事務室など同上50m25m以下
物品販売店舗・飲食店など30m15m以下

14階以下で、内装による+10mを使わない場合。内装を準不燃にして歩行距離が60mになれば重複区間は30m以下、15階以上で40mになれば20m以下(歩行距離の数値の1/2)。

  • かかるのは:121条1項で2以上を設けなければならない階だけ。任意で2つ設けた階にはかかりません。
  • 測り始め:居室の各部分から。住戸や居室の中の道すじも、廊下で分かれるまでは重複区間に入ります。
  • 行き止まりの廊下:図の右側の住戸のように、2つの階段の間から外れた行き止まりの部分にある部屋は、重複区間が長くなります。

根拠:建築基準法施行令121条3項、120条1〜3項

判定の例

建物とその階判定
耐火構造の共同住宅・5階建て各階の居室の合計180㎡1つでよい⑤は200㎡超から(2項)。5階以下なので⑥ロも200㎡超(直上階は400㎡超)
同じ共同住宅が7階建て6・7階も居室180㎡6・7階は2つ⑥イ:6階以上で居室あり。バルコニーと屋外避難階段(または特別避難階段)があれば、居室200㎡以下なので1つでよい
準耐火構造の事務所・4階建て2階(避難階の直上階)の居室350㎡、3階は250㎡2階は1つ、3階は2つ直上階は400㎡超から、その他の階は200㎡超から
木造(準耐火構造でない)の寄宿舎・2階建て2階の寝室の合計120㎡2つ⑤:寝室100㎡超。ただし延べ面積200㎡未満なら、階段の区画で外れる場合がある(下)
耐火構造の病院・3階病室の合計90㎡、診察室などほかの居室を含めた居室の合計150㎡1つでよい④は病室100㎡超から(2項)。⑥ロは病室以外も含めた居室全体で判定し、5階以下(直上階でない)は200㎡超から

117条1項に当たる建物(特殊建築物・階数3以上・延べ面積1,000㎡超など)の、避難階以外の階として判定。1階が避難階の例。

物販店舗と避難階段

  • 3階以上を売場にする物販店舗:床面積の合計1,500㎡超の物品販売業を営む店舗で、3階以上の階を店舗に使う建物は、各階の売場と屋上広場に通じる2以上の直通階段を設け、それを避難階段か特別避難階段にします(122条2項)。そのうち5階以上の売場に通じるものは1以上を、15階以上の売場に通じるものは全部を特別避難階段に(122条3項)。
  • 5階以上・地下2階以下に通じる直通階段:避難階段か特別避難階段にします。2つ設けたなら2つとも。15階以上・地下3階以下に通じるものは特別避難階段(122条1項)。主要構造部が準耐火構造・不燃材料で、5階以上(地下2階以下)の階の床面積の合計が100㎡以下の場合と、耐火構造の建物で床面積100㎡(共同住宅の住戸は200㎡)以内ごとに耐火構造の床・壁か特定防火設備で区画した場合は除きます。

根拠:建築基準法施行令121条1項2号、122条1〜3項

小さな建物の特例(階数3以下・延べ200㎡未満)

階数3以下・延べ面積200㎡未満の建物の、避難階以外の階では、階段の部分とほかの部分を区画すれば、④病院・児童福祉施設等と⑤ホテル・共同住宅・寄宿舎などの面積による2以上の決まりが外れます。主要構造部が準耐火構造・不燃材料の建物で外れるのは④だけです。①〜③と⑥は外れません。

  • 区画のしかた:階段の部分(そこからだけ出入りする便所なども含む)と、ほかの部分(直接外気に開放された廊下・バルコニーなどを除く)を間仕切壁か次の防火設備・戸で区画。防火設備・戸は遮煙性能があり、常時閉鎖か煙で自動に閉まるもの(112条19項2号)。
  • 病院・診療所、児童福祉施設等(入所する人の寝室があるもの):防火設備(居室などにスプリンクラーなどがあれば10分間防火設備)。
  • 児童福祉施設等(入所する人の寝室が無いもの)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎:戸(ふすま・障子などは不可)。
  • 112条15項の国土交通大臣が定める建築物の、避難階以外の階も同じく外れます。

根拠:建築基準法施行令121条4項

一級建築士の試験ではこう出る

  • 共同住宅で2以上が要るのは、その階の居室の床面積の合計が100㎡超(主要構造部が準耐火構造・不燃材料なら200㎡超。耐火構造も含む)2019202020242025
  • 耐火構造のホテルで2以上が要るのは、宿泊室の床面積の合計が200㎡超20172022
  • 2以上が要る物品販売店舗は、床面積の合計1,500㎡超2020。それ以外でも、耐火構造の5階以下の階は居室200㎡超(避難階の直上階は400㎡超)で2以上
  • 3階以上を売場にする物販店舗(1,500㎡超)は、売場と屋上広場に通じる2以上の直通階段を避難階段に20152023。1以上を特別避難階段にするのは5階以上の売場に通じるもの2025
  • 2以上設けた直通階段を避難階段・特別避難階段にしなければならないときは、全てを2024
  • 屋内から屋外避難階段に通じる出入口の防火設備は20分間の遮炎性能。「10分間」は誤り2024

確かめる

主要構造部を耐火構造とした共同住宅の4階(避難階の直上階ではない)。2以上の直通階段が要るのは、その階の居室の床面積の合計が?

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主要構造部を準耐火構造とした3階建ての事務所の2階(避難階の直上階)。2以上の直通階段が要るのは、居室の床面積の合計が?

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2以上の直通階段が必要な階で、主要構造部が準耐火構造の共同住宅(歩行距離50m)の重複区間の長さは?

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出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 13条・19条・112条・117条・120条・121条・122条・123条、建築基準法(e-Gov法令検索)2条4号、一級建築士試験の過去問。このページは条文の要点をまとめたものです。実際の設計では、条文・告示と所管の行政庁の取り扱いを確かめてください。
更新:2026年10月25日

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