1級建築士スワイプ法規の解説試験に出る作品

建築基準法|防火・避難

非常用の照明装置の
設置基準と構造

非常用の照明装置は、火事で停電したときに予備電源に切り替わって点き、居室と、そこから地上までの廊下・階段の床を照らす照明。要る建物と部分は建築基準法施行令126条の4、つくり方は126条の5と昭和45年建設省告示1830号が決めています。2025年11月の改正で、この2つの条文と告示は変わっていません。

居室廊下階段地上へ停電 → 自動で点灯予備電源で30分間充電なしで点灯床面で1lx以上告示:常温で蛍光灯・LEDは2lx
停電した建物の断面の模式図。赤い床が照らす範囲で、居室から廊下・階段を通って地上へ出るまで。床面の照度は施行令では1lx以上、告示1830号では常温で測って1lx(蛍光灯・LEDランプは2lx)以上

早見表

項目決まり
要る建物の居室特殊建築物(法別表第一(1)〜(4)項)は面積にかかわらず階数3以上で延べ面積500㎡超、延べ面積1,000㎡超の建物、採光上の無窓居室(採光に有効な窓が床面積の1/20未満)も
要る通路その居室から地上までの廊下・階段など採光上有効に直接外気に開放された通路は除く
要らない一戸建て住宅、長屋・共同住宅の住戸、病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、学校等告示1411号の居室(採光のある居室で、避難階は出口まで30m以下・直上階と直下階は20m以下。床面積30㎡以下の居室で、地上への出口があるか、地上までの通路に非常用の照明装置がある(または採光上有効に直接外気に開放されている)もの)
照度直接照明で、床面で1lx以上告示では常温で測って1lx(蛍光灯・LEDランプは2lx)以上
予備電源停電すると自動で切り替わり、充電しないで30分間点灯を続けられるもの
照明器具白熱灯・蛍光灯・LEDランプ。主要な部分は難燃材料LEDランプは日本工業規格のものに限る。白熱灯・蛍光灯はソケットの材料などで限定

根拠:建築基準法施行令126条の4、126条の5、昭和45年建設省告示1830号、平成12年建設省告示1411号

排煙設備との違い排煙設備は特殊建築物でも延べ面積500㎡超から。非常用の照明装置は、特殊建築物なら面積の下限がありません。無窓居室の判定も、排煙は「開けられる部分1/50」、非常用の照明は「採光に有効な部分1/20」と、見る窓の基準が違います。

要る建物と部分

次のどれかに当たる居室と、その居室から地上に通じる廊下・階段などの通路に、非常用の照明装置を付けます。

建物・居室条件
特殊建築物法別表第一(1)〜(4)項規模にかかわらず、その居室劇場・映画館・集会場など、病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎・児童福祉施設等、博物館・美術館・図書館((3)項のうち学校等は除く)、百貨店・展示場・遊技場・飲食店・物品販売店舗(床面積10㎡以内を除く)など
階数3以上の建物延べ面積500㎡超なら、その居室
採光上の無窓居室採光に有効な窓などの面積が、居室の床面積の1/20未満
延べ面積1,000㎡超の建物その居室
  • 通路:上の居室から地上に通じる廊下・階段など。採光上有効に、直接外気に開放された通路(屋外の開放廊下など)は除きます。ほかに、これらに類する部分で、ふだん照明が要る部分も対象です。
  • (3)項の学校・体育館:特殊建築物ですが、ただし書きの「学校等」で外れます。同じ(3)項でも博物館・美術館・図書館は外れません。
  • 別の建物とみなす部分:開口部のない耐火構造の床・壁で区画した部分などは、この決まりの上では別々の建物として扱います(令117条2項)。

根拠:建築基準法施行令126条の4第1項・2項、116条の2第1項1号、115条の3、建築基準法別表第一

要らない建物・居室

  • 住宅:一戸建ての住宅、長屋・共同住宅の住戸。
  • 寝る部屋:病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室と、これらに類する居室。
  • 学校等:学校(幼保連携型認定こども園を除く)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場。
  • 告示で決まる居室:避難階とその上下の階にある、出口に近い居室など(平成12年建設省告示1411号、次の節)。
  • 全館避難安全検証法では外れない:全館避難安全検証法で確かめた建物でも、非常用の照明装置は要ります(令129条の2第1項で適用しない規定に、126条の4・126条の5は入っていない)。

ホテルの客室は要るただし書きに出てくるのは「病室・下宿の宿泊室・寄宿舎の寝室」で、ホテル・旅館の客室は入っておらず、「その他これらに類する居室」にも当たらない扱いです。客室でも、次の告示1411号の条件に合えば外れます。

根拠:建築基準法施行令126条の4第1項ただし書き1〜4号、126条の2第1項2号(学校等)、129条の2第1項

告示1411号:出口に近い居室・30㎡以下の居室

令126条の4ただし書き4号の「避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するもの」を、告示1411号が決めています。

要る不要不要不要床面積が30㎡以下地上までの通路に非常用照明があれば避難階の直上階20m以下出口まで(直下階も)避難階30m以下屋外の出口まで要らなくなる居室(告示1411号)例:階数3・延べ500㎡超の事務所。30m・20mは採光のある居室だけ
告示1411号で非常用の照明装置が要らなくなる居室の模式図(例:階数3・延べ面積500㎡超の事務所で、1階が避難階)。1・2階は窓があり出口が近いので不要。3階の大部屋は窓があっても要る。3階の小部屋は30㎡以下で、地上までの通路(階段・1階の出口まで)に非常用の照明があるので不要。3階の大部屋が要るので、そこから地上までの階段にも全部の階で要る
居室要らなくなる条件
避難階の居室採光あり居室の各部分から屋外への出口の一つまで、歩行距離30m以下で、かつ避難上支障がない
避難階の直上階・直下階の居室採光あり避難階の屋外への出口、または屋外の避難階段に通じる出入口まで、歩行距離20m以下で、かつ避難上支障がない
床面積30㎡以下の居室採光は問わない地上への出口があるか、地上までの通路に非常用の照明装置がある(または採光上有効に直接外気に開放されている)ふすま・障子など、いつでも開けられるもので仕切った2室は1室とみなす
  • 「採光あり」:採光に有効な窓などの面積が床面積の1/20以上ある居室(令116条の2第1項1号に当たる窓がある居室)。
  • 「避難上支障がない」:30m・20mの居室には、歩行距離に加えてこの条件が付いています。
  • 3階から上:1階が避難階なら、3階から上の居室は30m・20mの決まりでは外れません。外せるのは30㎡以下の居室の決まりだけです。

根拠:平成12年建設省告示1411号1号・2号(平成30年国土交通省告示516号で30㎡以下の居室を追加)

つくり方(照度・予備電源・配線)

つくり方は2通り。告示1830号の仕様どおりにつくるか、停電で自動で点き、避難が終わるまで室温が上がっても床面で1lx以上を保てるものとして国土交通大臣の認定を受けたものを使います。

項目告示1830号などの決まり
照明直接照明で、床面で1lx以上(施行令)告示:常温で床面の水平面照度が1lx(蛍光灯・LEDランプは2lx)以上。低照度測定用の照度計で測る
照明器具耐熱性と即時点灯性のある白熱灯・蛍光灯・LEDランプ白熱灯・蛍光灯はソケットの材料で限定(蛍光灯は、即時点灯性回路につながないスターター型を除く)。日本工業規格で限るのはLEDランプだけで、直管LEDランプ(GX16t-5口金)か、難燃材料で覆った口金の無いLEDモジュール。器具の主要な部分は難燃材料で造るか覆う
予備電源常用の電源が切れると自動で切り替わり、戻ると自動で復帰。充電しないで30分間点灯を続けられる蓄電池(または、停電したら直ちに蓄電池で点灯させる蓄電池+自家用発電装置)開閉器に「非常用の照明装置用」と表示
電気配線ほかの電気回路につながない(電源や誘導灯に接続する部分を除く)。途中に、一般の人が簡単に電源を切れる開閉器や、コンセント・スイッチを設けない耐火構造の主要構造部に埋め込む、不燃材料の天井裏で鋼製電線管を使う、MIケーブルを使うなどで火から守る。電線は600V二種ビニル絶縁電線と同等以上の耐熱性
電池内蔵型照明器具の中に予備電源があるものは、配線の途中にスイッチを設けなければよい(ほかの配線の決まりは適用しない)
コンセント型予備電源を内蔵し差込みプラグでつなぐ器具は、壁などに固定したコンセントに直接差し、簡単に抜けないようにして、その旨を表示

根拠:建築基準法施行令126条の5第1号・2号、昭和45年建設省告示1830号第一〜第四(最終改正 平成29年国土交通省告示600号)

1lxと2lxの関係施行令は、床面で1lx以上と、火事で温度が上がっても明るさが大きく落ちない器具を求めています(大臣認定の方式では「室温が上がっても床面で1lx以上」)。告示は常温で測る値を決めていて、蛍光灯とLEDランプだけ2lx以上を求めています。

2025年11月の改正との関係

  • 条文は変わっていない:施行令126条の4・126条の5の文言は、改正前(2025年4月1日施行版)と現行版で同じです。
  • 告示も変わっていない:2025年11月施行の告示改正(令和7年国土交通省告示988〜998号)に、告示1830号・1411号は入っていません。技術的助言(国住指第322号)にも非常用の照明装置の項目はありません。
  • 無窓居室の判定に注意:変わったのは排煙上の無窓居室(令116条の2第1項2号)です。開けられる部分を測る壁の範囲が天井の高さで分かれ(2.6m以下は天井から80cm以内のまま、2.6m超は床から1.8m以上)、給気口・排気口を設ければ1/50に代えて告示の方法で判定できるようになりました。非常用の照明が使う採光の1/20(同項1号)は同じ文言のままです。

一級建築士の試験ではこう出る

  • 1階が避難階のホテルで、3階以上にある床面積30㎡超の客室(2025年は50㎡)は、採光上有効な窓があっても非常用の照明装置が要る20242025
  • 有料老人ホームの居室は要る(寄宿舎の寝室から用途変更すると必要になる)2023
  • ホテルの宿泊室で非常用の照明装置が要らない小部屋は、床面積30㎡以下(地上までの通路に非常用の照明装置があるなど)2024

確かめる

非常用の照明装置で、施行令が求める床面の照度は最低何lx?

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非常用の照明装置の予備電源は、充電しないで最低何分間点灯を続けられるもの?

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避難階の直上階にある採光のある居室で、非常用の照明装置が要らなくなる、避難階の出口までの歩行距離の上限は?(告示1411号)

法規の数字を、
スワイプで覚える

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出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 115条の3・116条の2・117条・126条の2・126条の4・126条の5・129条の2、建築基準法 別表第一(e-Gov法令検索)、昭和45年建設省告示1830号(国土交通省)、平成12年建設省告示1411号の改正(平成30年国土交通省告示516号・新旧対照表)、技術的助言 国住指第322号(令和7年10月31日)、一級建築士試験の過去問。このページは条文の要点をまとめたものです。実際の設計では、条文・告示と所管の行政庁の取り扱いを確かめてください。
更新:2026年10月25日

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