建築基準法|採光・換気
居室の採光とは?
採光補正係数とd/hを図で
居室の採光は、住宅・学校・病院などの居室に、床面積の1/5〜1/10以上の採光に有効な窓を設けさせる決まり(建築基準法28条1項)。住宅の居室は1/7以上で、床面で50ルクス以上の照明設備を設ければ1/10以上でよくなります。有効な面積は窓の面積×採光補正係数で数え、係数は用途地域ごとの式にd/hを入れて出します(施行令19条・20条)。
早見表:必要な割合と採光補正係数
| 居室 | 採光に有効な面積(床面積に対して) |
|---|---|
| 学校の教室・保育室幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・幼保連携型認定こども園の教室、保育所・幼保連携型認定こども園の保育室 | 1/5以上200ルクスの照明などで1/7(音楽教室・視聴覚教室は1/10) |
| 住宅の居住のための居室 | 1/7以上床面で50ルクス以上の照明設備を設ければ1/10(2023年4月から) |
| 病室・寝室など病院・診療所の病室、寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室、児童福祉施設等の寝室(入所する人が使うもの)と、保育・訓練などに使う居室(保育所を除く) | 1/7以上 |
| そのほかの学校の教室・談話室など大学・高等専門学校など1/5の欄以外の学校の教室、病院・診療所・児童福祉施設等の、入院患者・入所者の談話室・娯楽室など | 1/10以上 |
根拠:建築基準法28条1項、施行令19条3項の表と同項ただし書き、昭和55年建設省告示1800号(令和5年国土交通省告示86号で改正)
| 用途地域 | 採光補正係数 | 道に面しない窓が1.0になる水平距離 |
|---|---|---|
| 住居系第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居、田園住居 | d/h×6−1.4 | 7m以上 |
| 工業系準工業・工業・工業専用 | d/h×8−1 | 5m以上 |
| 商業系など近隣商業・商業・用途地域の指定のない区域 | d/h×10−1 | 4m以上 |
根拠:施行令20条2項1〜3号。係数の上限は3.0。道に面する窓は、計算した値が1.0未満でも1.0。道に面しない窓は、水平距離が表の値以上なら1.0未満でも1.0、表の値未満で計算した値が負なら0。
見分け方掛ける数は住居系6・工業系8・商業系10。同じd/hでも、住居系→工業系→商業系の順に係数が大きく出ます。引く数は住居系だけ1.4で、ほかは1。道に面しない窓を1.0にしてくれる距離は、逆に7m・5m・4mと短くなっていきます。
採光が要る居室・要らない居室
採光の割合がかかるのは、住宅・学校・病院・診療所・寄宿舎・下宿と、児童福祉施設等(老人福祉施設・有料老人ホーム・障害者支援施設など)の、上の早見表に載っている居室だけです。事務所・店舗・ホテルの客室など、表に無い居室にはこの割合の決まりはかかりません(採光の少ない居室には、別の決まりがかかることがあります)。
- 要らない居室:地階や地下工作物の中に設ける居室など、温湿度の調整が要る作業を行う作業室など、用途上やむを得ない居室(法28条1項ただし書き)。
- 居室だけ:対象は居室で、廊下・便所・浴室・納戸のような居室でない室は入りません。住宅なら居間・寝室・子ども部屋などの居住のための居室が対象です。
- 児童福祉施設等:児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く)、助産所、身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設・視聴覚障害者情報提供施設を除く)、保護施設(医療保護施設を除く)、女性自立支援施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援)の施設(施行令19条1項)。
根拠:建築基準法28条1項、施行令19条1項・2項
必要な割合と照明による緩和
学校の教室・保育室(1/5)と、住宅・病室・寝室など(1/7)の居室は、告示の照明設備などを設ければ、1/10までの範囲で告示の割合に下げられます(施行令19条3項ただし書き)。下げ方を決めているのが昭和55年建設省告示1800号です。病室・寝室など住宅以外の1/7の居室には、この告示の緩和はありません。
| 居室 | 条件 | 割合 |
|---|---|---|
| 幼稚園・幼保連携型認定こども園の教室、保育室保育所の保育室を含む | 床面で200ルクス以上の照明設備 | 1/7 |
| 小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校の教室 | 床から50cmの高さの水平面で200ルクス以上の照明設備+床から50cm以上の部分の窓だけで床面積の1/7以上 | 1/7 |
| 同じ学校の音楽教室・視聴覚教室 | 施行令20条の2の換気設備+床から50cmの水平面で200ルクス以上の照明設備 | 1/10 |
| 住宅の居住のための居室 | 床面で50ルクス以上の照明設備 | 1/10 |
根拠:昭和55年建設省告示1800号 第1・第2(平成30年国土交通省告示474号、令和5年国土交通省告示86号で改正)
- 住宅の50ルクス:原則として、居室の床面全体で50ルクス以上を確保できる照明設備にします。告示では、照明の種類(LEDなど)や形(埋め込み・吊り下げなど)を制限していません(告示86号の意見募集への国土交通省の回答)。
- 確認申請の図面:緩和を使う住宅は、平面図などに照明設備の位置と、50ルクス以上の照明設備を設ける旨を書くことが想定されています。完了検査では、照明を付けるシーリングローゼットなどが図面どおりの位置にあるかを見る方法が示されています(国住指第533号、令和5年3月24日)。
採光補正係数の計算とd/hの測り方
採光に有効な面積は、居室の窓ごとに窓の面積×採光補正係数を出して、合計します(施行令20条1項)。採光補正係数は、窓の外がどれだけ開けているかを表す数で、用途地域ごとの式(早見表)に採光関係比率 d/hを入れて出します。
- d(水平距離):窓の真上にある建物の各部分(軒先・ひさし・上の階の壁など)から、その部分が面する隣地境界線までの水平距離。窓の真上の面から後退・突き出した部分も含み、半透明のひさしなど採光の妨げにならないひさしは除きます。
- h(垂直距離):その部分から窓の中心までの垂直距離。窓の上端や下端ではありません。
- いちばん小さい値:真上の部分ごとに d/h を出し、そのうち最も小さい値を使います。多くの場合、いちばん高い位置の軒先で最小になります(図の例)。低い位置のひさしは最小にならないことが多いので、上の部分も必ず計算します。
- 隣地境界線の代わりになる線:窓が道に面するときは道の反対側の境界線。公園・広場・川などの空地や水面に面するときは、その幅の1/2だけ隣地境界線の外側の線。同じ敷地のほかの建物や、同じ建物のほかの部分に面するときは、その向かい合う部分までの距離で測ります。
| 計算した値 | 採光補正係数 |
|---|---|
| 3.0を超える | 3.0(上限) |
| 道に面する窓で1.0未満 | 1.0 |
| 道に面しない窓で1.0未満 | 水平距離が7m以上(工業系5m・商業系など4m)なら1.0。それ未満で値が負なら0、0〜1.0ならその値 |
根拠:施行令20条2項(1号の距離は住居系、2号は工業系、3号は商業系など)
大臣が定めた別の計算方法施行令20条1項ただし書きで、国土交通大臣が別に定めた方法(平成15年国土交通省告示303号)でも計算できます。たとえば特定行政庁が土地利用の現況を見て規則で区域を指定すると、その区域では20条2項1〜3号のうち特定行政庁が指定した号の式を使えます。また、一体的に使い、衛生上の支障がない2以上の居室で、特定行政庁が規則で定める基準に合うと認めたものは、1室とみなして計算できます(どちらも2018年から。2つ目は採光の無窓居室の判定には使えない)。
計算の例(住居系・道に面しない窓)
床面積14㎡の住宅の居室に、面積2.0㎡の窓が1つ。必要な採光に有効な面積は、14㎡×1/7=2.0㎡です。
| d と h | 採光補正係数 | 有効な面積 |
|---|---|---|
| d=2.0m、h=4.0m | 0.5×6−1.4=1.6 | 2.0×1.6=3.2㎡(足りる) |
| d=1.0m、h=4.0m | 0.25×6−1.4=0.1水平距離が7m未満なので1.0にはならない | 2.0×0.1=0.2㎡(足りない) |
| 道に面する窓道の反対側の境界線まで d=1.5m、h=4.0m | 0.375×6−1.4=0.85 → 1.0道に面するので、1.0未満でも1.0 | 2.0×1.0=2.0㎡(足りる) |
道に面する窓の d は、隣地境界線ではなく道の反対側の境界線まで測ります。
天窓は3倍・縁側は0.7倍
窓のつき方で、式で出した値をさらに補正します。補正したあとも上限は3.0です。
- 天窓:計算した値に3.0を掛けます。3.0を超えれば3.0。
- 縁側:外側に幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く)や、それに類するものがある窓は、計算した値に0.7を掛けます。
根拠:施行令20条2項かっこ書き・ただし書き
ふすま・障子で仕切った2室は1室
ふすま・障子など、いつでも開けられるもので仕切った2室は、採光(と換気)の決まりでは1室とみなします。窓の無い和室でも、ふすまでつながった居間の窓で、2室の床面積の合計に対する割合を満たせばよい、ということです。
根拠:建築基準法28条4項(1〜3項の採光・換気に適用)。採光の無窓居室の判定(施行令111条2項・116条の2第2項)にも同じ決まりがある。
採光の無窓居室(1/20)
採光に有効な面積(施行令20条で計算)が床面積の1/20未満の居室は、用途にかかわらず、避難と構造の決まりで「無窓居室」になります。事務所や店舗のように28条1項の割合がかからない居室も、この判定は受けます。
- 避難の決まり(施行令116条の2第1項1号):その居室のある階に廊下・避難階段・出入口の決まりがかかり(117条)、避難階以外の階では、居室から直通階段までの歩行距離が30m以下(120条。告示の基準に合うものを除く。主要構造部が準耐火構造などで内装を準不燃材料にすれば40m、15階以上の階は別の数値)。居室と地上へ通じる通路に非常用の照明装置が要ります(126条の4。一戸建ての住宅、病院の病室、学校等などは除く)。
- 主要構造部(施行令111条1項):1/20以上の窓も、直接外気に接する避難上有効な構造で直径1m以上の円が入るか幅75cm以上・高さ1.2m以上の開口も無い居室は(避難階とその直上階・直下階の居室などで、床面積・通路の構造・消火設備・排煙設備・非常用の照明装置・警報設備が告示の基準に合うものを除く)、その居室を区画する主要構造部を耐火構造か不燃材料にします(劇場など法別表第一(1)項の用途は除く。法35条の3)。
根拠:建築基準法35条・35条の3、施行令111条・116条の2・117条・120条・126条の4。排煙の無窓居室(開けられる部分が1/50未満)は別の判定で、排煙設備のページにまとめています。
改正で変わった点(2023年4月・2025年11月・2026年11月)
- 2023年4月1日:建築基準法28条1項から「住宅にあつては七分の一以上」を削り、割合を施行令19条3項の表にまとめました(住宅の居住のための居室は表で1/7)。あわせて照明などによる緩和の対象に住宅の居室が加わり、告示1800号に「床面において50ルクス以上の照度を確保することができるよう照明設備を設置」すれば1/10とする号が足されました(令和4年法律69号、令和4年政令351号、令和5年国土交通省告示86号)。
- 2025年11月1日:令和7年政令310号の改正で、採光の割合(施行令19条)と採光補正係数(20条)の条文は変わっていません。変わったのは排煙の無窓居室の判定(116条の2第1項2号)で、採光の無窓居室(1号の1/20)はそのままです。
- 2026年11月1日から:令和8年政令284号で、児童福祉施設等のうち、利用者の滞在時間が短いなど衛生上支障がないとして国土交通大臣が定める施設では、保育・訓練などに使う居室(施行令19条2項4号)が採光の対象から外れます。寝室(3号)と、入所者の談話室・娯楽室など(5号)は対象のままです。
根拠:e-Gov法令検索の改正前後の版(建築基準法 2022年8月20日版と2023年4月1日版、施行令 2022年12月16日版・2023年4月1日版・2025年9月3日版・2025年11月1日版・2026年11月1日施行版)、令和5年国土交通省告示86号
一級建築士の試験ではこう出る
- 中学校の教室の採光に有効な面積は、床面積の1/5以上2017
- 児童福祉施設の入所者用の娯楽室は、床面積の1/10以上2015
- 幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く)がある窓の採光補正係数は、計算した値に0.7を掛ける20152018
- 天窓の採光補正係数は、計算した値に3.0を掛ける20152019
- 病室の窓の採光に有効な面積の算定方法は、用途地域で変わる2020。「用途地域に関係なく」は誤り2026
確かめる
住居系の用途地域で、採光補正係数を出す式は?(d/h=採光関係比率)
確かめる
採光関係比率 d/h の h は、窓の真上の部分(軒先など)から窓のどこまでの垂直距離?
確かめる
住宅の居住のための居室で、採光に有効な面積は原則として床面積の?
法規の数字を、
スワイプで覚える
一級建築士の学科に出る法規の数字を、4択でくり返し解けます。間違えたものは、あとでもう一度出てきます。まずは10問で、いまの予測スコアを。
10問で予測スコアを出す(無料)出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 19条・20条・111条・116条の2・117条・120条・126条の4、建築基準法(e-Gov法令検索)、令和5年国土交通省告示86号(昭和55年建設省告示1800号の改正。国土交通省)、令和5年3月24日 国住指第533号 技術的助言(国土交通省)、告示86号の意見募集の結果(国土交通省)、平成30年3月22日 国住指第4672号 技術的助言(告示1800号・303号の改正。国土交通省)、一級建築士試験の過去問。このページは条文の要点をまとめたものです。実際の設計では、条文・告示と所管の行政庁の取り扱いを確かめてください。
更新:2026年10月25日
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