建築基準法|集団規定
容積率の計算
前面道路の幅員と、算入しない床
容積率は、延べ面積の敷地面積に対する割合。上限は、都市計画で決まる指定容積率と、前面道路の幅員が12m未満のときの幅員(m)×0.4(住居系の地域)または×0.6(その他の地域)の、小さい方です。延べ面積からは、共同住宅の共用廊下・階段やエレベーターの昇降路を外して計算します(建築基準法52条、施行令2条)。
容積率の早見表
容積率=延べ面積÷敷地面積。次の2つを両方守るので、結局は小さい方が上限になります。
| 決まり | 上限 |
|---|---|
| ① 指定容積率都市計画で決まる | 50〜1300%用途地域ごとに選べる数値が決まっている(下の表) |
| ② 前面道路の幅員による上限幅員が12m未満のときだけ | 幅員(m)×係数例:幅員6m×0.4=240% |
| 係数:第一種・第二種低層住居専用、田園住居 | 0.4 |
| 係数:第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居 | 0.4特定行政庁が指定する区域は0.6。高層住居誘導地区内で住宅が延べ面積の2/3以上の建物は「その他」の扱い(敷地面積の条件あり) |
| 係数:その他近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用・用途地域の指定のない区域など | 0.6特定行政庁が指定する区域は0.4か0.8 |
| 前面道路が2本以上 | いちばん広い道路の幅員で計算 |
| 特定道路の緩和幅員15m以上の道路から70m以内 | Wa=(12−Wr)(70−L)/70前面道路が6m以上12m未満のとき、幅員に足す |
根拠:建築基準法52条1項・2項・9項、施行令135条の18。係数の「特定行政庁が指定する区域」は、都道府県都市計画審議会の議を経て指定されるもの
前面道路の幅員で決まる上限
前面道路の幅員が12m未満のときは、指定容積率とは別に「幅員のメートルの数値×係数」が上限になります。幅員4mなら、住居系で4×0.4=1.6、つまり160%。指定容積率が200%でも、使えるのは160%までです。
- 計算例(第一種住居地域):指定容積率300%、前面道路6m → 6×0.4=240%。小さい方の240%が上限
- 計算例(商業地域):指定容積率600%、前面道路8m → 8×0.6=480%。上限は480%
- 12m以上の道路:この上限はかからず、指定容積率だけで決まる
- 前面道路が2本以上:幅員の最大のもので計算する(角地で4mと6mなら6m)
- 係数が変わる区域:特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定した区域では、中高層住居専用・住居・準住居の地域が0.6、その他が0.4か0.8になる(低層住居専用・田園住居は指定区域が無く0.4のまま)。例えば東京都港区の案内資料(2004年6月施行の指定)では、指定容積率400%以上の第一種・第二種住居地域を0.6、500%以上の商業地域を0.8にしている。敷地の区域は所管の行政庁で確かめる
なぜ道路が狭いのに床だけ多いと、人や車の出入り、火事のときの消火・避難に道路が追いつかないため。だから広い道路に面する敷地ほど、多くの床を建てられます。
指定容積率の数値(用途地域ごと)
都市計画では、用途地域ごとに次の数値の中から1つを選んで決めます。実際の数値は、自治体の都市計画図で確かめます。
| 用途地域 | 選べる指定容積率 |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用、田園住居 | 50・60・80・100・150・200% |
| 第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居、近隣商業、準工業 | 100・150・200・300・400・500% |
| 商業 | 200〜1300%100%きざみ |
| 工業、工業専用 | 100・150・200・300・400% |
| 用途地域の指定のない区域 | 50・80・100・200・300・400%特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定める |
根拠:建築基準法52条1項1〜4号・8号。高層住居誘導地区・居住環境向上用途誘導地区・特定用途誘導地区は別の定め(同項5〜7号)。2026年11月26日施行の改正で特定業務施設等誘導地区が8号に加わり、用途地域の指定のない区域は9号になる(数値は同じ)
特定道路の緩和
広い道路の近くなのに、前面道路だけが狭くて容積率が急に下がるのを和らげる決まりです。次の3つの条件がそろうと、前面道路の幅員に Wa を足して②の上限を計算できます。
- 特定道路:幅員15m以上の道路
- 前面道路:特定道路に接続する、幅員6m以上12m未満の道路
- 敷地の位置:前面道路のうち、特定道路からの延長が70m以内の部分で敷地が接する
式は Wa=(12−Wr)(70−L)/70(単位はm)。Wr は前面道路の幅員、L は特定道路から敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの延長です。特定道路に近いほど Wa が大きく、70mで0になります。特定道路側のどこから測り始めるかは条文に書かれていないので(図は特定道路の境界線から測った例)、所管の行政庁の運用で確かめます。
- 計算例(商業地域・指定600%):Wr=6m、L=35m → Wa=(12−6)×(70−35)/70=3m。幅員を6+3=9mとして 9×0.6=540%(緩和なしなら6×0.6=360%)
- 足すのは②の幅員だけ:指定容積率(①)は変わらない。上限は引き続き①と②の小さい方
根拠:建築基準法52条9項、施行令135条の18
延べ面積に算入しない床
容積率の計算に使う延べ面積からは、次の床を外せます。全部外せるものと、限度があるものに分かれます。
| 部分 | 算入しない量 |
|---|---|
| エレベーターの昇降路用途を問わない | 全部 |
| 共用の廊下・階段共同住宅、老人ホーム・福祉ホームなど | 全部 |
| 地階の住宅・老人ホームなど天井が地盤面から1m以下 | 住宅・老人ホームなどの部分の床面積の合計の1/3まで |
| 自動車車庫など自転車の駐車場、誘導車路・操車場所・乗降場を含む | 1/5まで |
| 防災用の備蓄倉庫 | 1/50まで |
| 蓄電池床に据え付けるもの | 1/50まで |
| 自家発電設備 | 1/100まで |
| 貯水槽 | 1/100まで |
| 宅配ボックス | 1/100まで |
根拠:建築基準法52条3項・6項、施行令2条1項4号・3項、135条の16。1/5〜1/100の分母は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計(2棟以上ならその和)
- EVの昇降路:外せるのはエレベーターの昇降路。共同住宅に限らず、事務所や店舗でも外せる
- 共用の廊下・階段:共同住宅と老人ホーム等のもの。全部外せて、1/3のような限度はない。事務所ビルの廊下・階段は外せない
- 住宅の地階:天井が地盤面から1m以下の地階にある住宅・老人ホーム等の部分。外せるのは、建物の住宅・老人ホーム等の部分(共用廊下・階段などを除く)の床面積の合計の1/3まで。この地盤面は、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さ(高低差が3mを超えるときは3m以内ごとの平均)。地方公共団体が条例で別に定めることもある
- 車庫・備蓄倉庫など:限度の分母は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計(車庫そのものも含めた、外す前の合計。2棟以上ならその和)。延べ面積1,000m²の建物なら、車庫は200m²まで、自家発電設備は10m²まで外せる
- 住宅の機械室:住宅・老人ホーム等に設ける給湯設備などの機械室で、国土交通省令の基準に合い、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めたものも外せる
なぜ共用廊下・階段や昇降路は、住む人や働く人の床を増やすものではありません。車庫や備蓄倉庫は、外して計算できるようにして、敷地に車庫や防災の備えを置きやすくしています。
敷地が2つの地域にまたがるとき
敷地が容積率の制限の違う地域にまたがるときは、それぞれの地域の上限(①と②で決まるもの)に、その地域にある敷地の面積の割合を掛けて足し合わせた値が上限になります(加重平均)。
- 計算例:敷地の60%が上限400%の地域、40%が上限200%の地域 → 400×0.6+200×0.4=320%
- 敷地面積:42条2項道路などで道路の境界線とみなされる線と道の間(いわゆるセットバック部分)は、敷地面積に入れない
- ほかの緩和:住宅を含む建物の緩和(52条8項)、計画道路(10項)、壁面線(11項・12項)、特定行政庁の許可(14項)などもある。それぞれ条件が細かいので条文で確かめる
根拠:建築基準法52条7項、施行令2条1項1号
一級建築士の試験ではこう出る
- 容積率の特例でいう特定道路の幅員は15m以上2020
- 共同住宅・老人ホーム等の共用の廊下・階段は、容積率の延べ面積に算入しない(全部)。ひっかけ「1/3を限度に算入しない」は誤り(1/3が限度なのは住宅の地階)201920232026
- 防災用の備蓄倉庫を算入しない限度は、各階の床面積の合計の1/502023
- 自家発電設備は1/100。ひっかけ「1,000m²で20m²を算入しない」は誤り(10m²まで)2016
- 宅配ボックスは1/10020212026
確かめる
第一種住居地域、指定容積率300%、前面道路の幅員6m(特定行政庁の指定区域ではない)。容積率の上限は?
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共同住宅の共用の廊下・階段の床面積は、容積率の延べ面積に?
確かめる
自動車車庫の部分を容積率の延べ面積に算入しない限度は、各階の床面積の合計の?
法規の数字を、
スワイプで覚える
一級建築士の学科に出る法規の数字を、4択でくり返し解けます。間違えたものは、あとでもう一度出てきます。まずは10問で、いまの予測スコアを。
10問で予測スコアを出す(無料)出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 2条・135条の16・135条の18、法52条、建築基準法(e-Gov法令検索)、港区における容積率制限及び斜線制限(港区)、一級建築士試験の過去問。このページは条文の要点をまとめたものです。実際の設計では、条文・告示と所管の行政庁の取り扱いを確かめてください。
更新:2026年10月25日
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