建築基準法|高さの制限
道路斜線
後退距離・2以上の前面道路・緩和
道路斜線は、建物の各部分の高さを前面道路の反対側の境界線までの水平距離×1.25(住居系)または×1.5(商業系・工業系など)以下に抑える決まり。効くのは反対側の境界線から適用距離(20〜50m)の範囲だけ。根拠は建築基準法56条1項1号・別表第3。このページは、実務と試験で引く細かい決まり(後退距離・2以上の前面道路・緩和)を主に扱います。
勾配と適用距離の早見表
適用距離は、用途地域と容積率の限度で決まる。容積率は指定の数字そのままではなく、前面道路の幅員による限度(法52条2項、容積率のページ)なども当てたあとの限度(指定と幅員による限度の小さい方)で表を引く。
| 用途地域 | 勾配 | 適用距離(容積率の限度) |
|---|---|---|
| 住居系第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、田園住居、第一種・第二種住居、準住居 | 1.25 | 20/10以下 20m 30/10以下 25m 40/10以下 30m 40/10超 35m |
| 近隣商業・商業 | 1.5 | 40/10以下 20m 60/10以下 25m 80/10以下 30m 100/10以下 35m 110/10以下 40m 120/10以下 45m 120/10超 50m |
| 準工業・工業・工業専用 | 1.5 | 20/10以下 20m 30/10以下 25m 40/10以下 30m 40/10超 35m |
| 高層住居誘導地区住宅の床面積が延べ面積の2/3以上の建物 | 1.5 | 35m |
| 用途地域の指定なし | 1.25か1.5特定行政庁が定める | 20/10以下 20m 30/10以下 25m 30/10超 30m |
第一種・第二種中高層住居専用(指定容積率が40/10以上の所に限る)と第一種・第二種住居・準住居のうち、特定行政庁が指定する区域では、勾配が1.5になり、適用距離が5mずつ短くなる(25m→20m、30m→25m、35m→30m。20mはそのまま)。
根拠:建築基準法56条1項1号、別表第3(備考3)
緩和の一覧
ほとんどは「どこを起点にするか」「何mの道路とみなすか」「道路の高さをどこにとるか」を動かす決まりで、勾配は変わらない(12m以上の住居系だけ例外)。天空率は道路斜線そのものを外す。
| こんなとき | どう緩むか |
|---|---|
| 建物を道路から下げた法56条2項 | 反対側の境界線を後退距離だけ外側へ |
| 前面道路が2以上令132条 | 広い道路から2Aかつ35m以内と、他の道路の中心線から10m超は、広い道路の幅とみなす |
| 計画道路・予定道路、壁面線がある令131条の2 | 特定行政庁が認めれば、計画道路・予定道路を前面道路とみなす。壁面線などを越えない建物で特定行政庁が認めたものは、道路の境界線(反対側も)を壁面線の位置とみなす。区画整理などの街区で特定行政庁が指定すると、街区の接する道路を前面道路とみなす |
| 住居系(低層・田園を除く)で前面道路が12m以上法56条3項・4項 | 反対側の境界線から1.25A以上の所は勾配1.5 |
| 反対側に公園・広場・水面など令134条 | 反対側の境界線を、公園などの向こう側の境界線へ |
| 敷地が道路より1m以上高い令135条の2 | 道路を(高低差−1m)÷2だけ高い位置とみなす |
| 天空率の基準に合う法56条7項 | 道路斜線そのものを適用しない |
根拠:建築基準法56条2項・3項・4項・6項・7項、施行令131条・131条の2・132条・134条・135条の2
適用距離は「最大35m」ではない
道路斜線がかかるのは、前面道路の反対側の境界線から適用距離以内の部分だけ。その先は道路斜線では抑えられない(隣地斜線・北側斜線などは別にかかる)。
- 住居系・工業系:20〜35m。容積率の限度が40/10を超えると35m
- 近隣商業・商業:20〜50m。容積率が大きいほど長く、120/10を超えると50m
- 表を引く容積率:法52条1項・2項・7項・9項による容積率の限度。指定容積率が大きくても、前面道路が狭くて限度が下がれば、適用距離も短い方で引く
なぜ道路斜線は道路の明るさと風通しを守る決まり。大きな建物が建つ所ほど、遠くまで道路に影を落とすので、抑える範囲も長くなる。
後退距離と、後退部分に置いてよい物
建物を前面道路の境界線から下げて建てると、道路の反対側の境界線から後退距離だけ外側の線を起点にして斜線を引ける(法56条2項、冒頭の図)。後退距離は、建物から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のもの。いちばん道路に近い部分で決まる。
後退距離を測るとき、次の部分は無いものとして扱える(地盤面下の部分も)。条件を1つでも外すと、その部分から測ることになる。
| 部分 | 条件 |
|---|---|
| 物置など1号 | 軒の高さ2.3m以下かつ床面積の合計5m²以内。道路に面する長さが、敷地が道路に接する長さの1/5以下。道路境界線から1m以上離す |
| ポーチなど2号 | 高さ5m以下。道路に面する長さ1/5以下、道路境界線から1m以上(物置と同じ) |
| 道路に沿う門・塀3号 | 高さ2m以下。1.2mを超える部分は網状など |
| 隣地境界線に沿う門・塀4号 | 高さの条件なし |
| 歩廊・渡り廊下など5号 | 特定行政庁が規則で定めたもの |
| そのほかの部分6号 | 高さ1.2m以下 |
この表の高さ(ポーチの5m、門・塀の2m など)と物置の軒の高さは、地盤面からではなく前面道路の路面の中心から測る。道路斜線の高さ(56条1項1号)も同じ。
根拠:建築基準法56条2項、施行令130条の12、2条1項6号イ・7号
2以上の前面道路(2Aかつ35m・中心線10m)
角地などで前面道路が2本以上あると、狭い道路の斜線を広い道路の幅で計算してよい区域がある。区域は3つに分かれる(施行令132条)。
- ① 広い道路の幅とみなす(1項):広い道路の境界線から2A(Aは広い道路の幅員)かつ35m以内の区域と、他の道路の中心線から10mを超える区域。すべての前面道路を広い道路と同じ幅とみなす
- ② 2本以上の道路の範囲が重なる所(2項):①の外で、2本以上の道路の境界線からそれぞれ幅員の2倍以内かつ35m以内の所。それらの道路だけを前面道路にして、狭い方を広い方の幅とみなす。幅員4m未満の道路は「2倍」の代わりに10m−幅員/2
- ③ それ以外(3項):その部分が接する前面道路だけを前面道路とする。つまり狭い道路は本来の幅のまま
上の図の例(広い道路12m・狭い道路6m)では、広い道路から24m(2A)までと、狭い道路の境界線から7m(中心線から10m)より遠い所が①。狭い道路の本来の6mで計算するのは、角の奥の幅7mの帯だけになる。
なぜ中心線から10mを超える所は狭い道路から離れていて、広い道路と同じ扱いにしても狭い道路への影響が小さい、という考え方。「2A以内だけが広い幅」と覚えると、10m超の側で決まる問題を落とす。
根拠:建築基準法56条6項、施行令131条・132条1項〜3項
住居系で前面道路が12m以上
第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居の各地域で、前面道路の幅員が12m以上のとき、反対側の境界線から幅員×1.25以上の区域では勾配が1.25から1.5になる(法56条3項)。第一種・第二種低層住居専用と田園住居は入らない。
建物を後退させたときは、起点を後退距離だけ外へ出したうえで、1.5になる境目を(幅員+後退距離×2)×1.25で測ることもできる(法56条4項)。
根拠:建築基準法56条3項・4項
反対側に公園・川/敷地が道路より高い
- 公園・広場・水面など:前面道路の反対側にあれば、反対側の境界線は公園などの向こう側の境界線にあるとみなす(令134条1項)。前面道路が2本以上でその1本の向こうに公園などがあるときは、令132条1項の代わりに、その道路の境界線から「公園などの向こう側の境界線までの距離」の2倍以内かつ35m以内の区域と、他の道路の中心線から10mを超える区域で、すべての道路をその道路と同じ幅で向かいに同じ公園などがあるとみなす方法も使える(令134条2項)
- 敷地が道路より1m以上高い:前面道路は(高低差−1m)の1/2だけ高い位置にあるとみなす(令135条の2第1項)。高低差3mなら1m高い所に道路があるとして計算する。地形が特殊なときは特定行政庁が規則で別の高さを定めることがある(2項)
根拠:施行令134条・135条の2
天空率で道路斜線を使わない道
道路斜線にぴったり合わせて建てた建物(道路高さ制限適合建築物)と比べて、計画する建物の天空率が同じ以上なら、道路斜線そのものを適用しない(法56条7項1号)。天空率は前面道路の反対側の境界線上の決まった位置で測り、後退距離も適合建築物と同じ以上にとる(施行令135条の6)。斜線で削った段々の形にしたくないときの道。
根拠:建築基準法56条7項1号、施行令135条の6
一級建築士の試験ではこう出る
- 高さの最高限度を計算する問題は、直近12年のうち10回が道路2本の敷地2015201620172018201920202021202320252026
- 他の道路の中心線から10mを超える側で決まった20162017。どちらの範囲にも入らない点が問われた2015
- 広い道路の幅が分かる9回は、いずれも幅17.5m以下で、2Aは35m以内。2Aが35mを超えて35mで頭打ちになった回は無い
- 令132条を忘れて狭い道路の本来の幅で計算すると出る17.5mが、選択肢に入っていた2026
- 後退距離の特例を受けるときのポーチの高さ(2024は軒の高さ)は、前面道路の路面の中心から測る。ひっかけ「地盤面から」(2019・2025)は誤り201920242025
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前面道路が2以上あるとき、広い道路の幅とみなす区域は「広い道路の境界線から2Aかつ35m以内」と、もう1つは?
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後退距離を測るとき無いものとして扱える、道路に沿って設ける塀の条件は?
確かめる
商業地域で、道路斜線の適用距離はいちばん長くて何m?
法規の数字を、
スワイプで覚える
一級建築士の学科に出る法規の数字を、4択でくり返し解けます。間違えたものは、あとでもう一度出てきます。まずは10問で、いまの予測スコアを。
10問で予測スコアを出す(無料)出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索) 2条・130条の12・131条・131条の2・132条・134条・135条の2・135条の6、建築基準法(e-Gov法令検索)、一級建築士試験の過去問。このページは条文の要点をまとめたものです。実際の設計では、条文・告示と所管の行政庁の取り扱いを確かめてください。
更新:2026年10月25日
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